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「私の幼なじみにどうしようもない男がいるんです。彼ね、私につきまとってきて……。本当に気味が悪くて屋敷から出れずじまい。まあ、あと2年もすれば彼は結婚するから、それまでだけれど……」
「そうなんだ……。ちなみに、幼なじみって? 」
リサが食い気味に質問をする。そういえばディアル家は最高位の魔法使いだ。だからこそ、気になったのだろう。(もし彼女の幼なじみが同じく最高位の魔法使いならば狙う気なのかもしれない。)
「カスタンモーレのグスタフですわ」
「ああ、彼か……」
「私的には、グスタフの兄であるジョンとなら結婚しても構わないと考えていたのですが、彼は結婚してしまいましたから……。もうカスタンモーレとは関わりたくないのです」
「ふむふむ。──カレン、知らないだろうから教えておくけど、カスタンモーレは一言で表すならば、オールマイティーよ。でも、グスタフは平凡。両親は彼から名字を引き剥がして婿に出す気みたいだわ」
「へえ」
「え、そんな噂が? ──グスタフの両親はそんなこと、しませんよ。放置するらしいです」
「どういうこと……? 」
「彼は数年前まで両親による手解きを受けていましたが、平凡であることが判明すると見放したそうです。お前は平凡だ、お前は天才にはなれない、と」
「ほお」
魔法使いとはよく分からないものだ──そう思っていると、シェス、と呼ぶ声がした。呼ばれた当人は、はっとした。
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