白石獅子雄は、眠らない

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 オレはニヤリと口角を上げて、「いっこくいちじょーってなあに」とか言ってる名前もわからなくなったキャバ嬢に囁いた。 「おい、シャンパン入れようぜ。祝い酒だ!」 「きゃー、マジでえ? ねえねえシシオさん、あたし、アルマンドが飲みたいなあ~」 「いいぞいいぞ。アルマンドでもアルシンドでもなんでも持って来ーい!」  ありがとうさすがシシオさん! マジパネェっすシシオさん! シシオさんシシオさんシシオさん!  さざ波のようにオレの名前を口々に呼んで、店じゅうの人間がオレを大絶賛する。  拍手喝采、称賛畏敬。  いい気分だ。実にいい気分だ。 「獅子雄っ! 獅子雄ったら、獅子雄ーっ!」  はいはい、オレが獅子雄。眠らない男、白石獅子雄ですよっと。 「いい加減起きなさい、遅刻するわよ、獅子雄! 獅ー子ー雄ーっ!」
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