白石獅子雄は、眠らない

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 そんな結論に達して、オレは早い内から就活に時間をかけることにした。  恋愛やギャンブルと違って就活にはある程度のコツがあったし、特殊な業種を選ばなければ採用されやすい学生はおおむね、どこの会社でも採用されやすいものだ。  とにかく高収入だという会社を片っ端からチェックして、難易度のわりにウケのいい資格をいくつか取って、国際ニュースを読みあさり、果ては面接で答えるエピソードを作るためにわざわざアルバイトをしたりなんかした。  企業研究、業界研究、そして自己分析。  時間さえふんだんにかけられれば、別に難しいこともなかった。  どんな業種でもそこそこやっていけるとは思ったが、結局オレはコンサルタントになった。年収が高いのとものすごく競争率が高いのもオレの気を引いた要因だが、一番は仕事にやたらめったら時間がかかるから、だった。  コンサルってのは要するに他人の欠点を見つけ出してあげつらい、それをしたり顔で解決に導いてやる仕事だ。
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