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そんなある日のことでした
職場にカオルが来たのです
血相変えて
とてもぜいたくなブランド服に身を包んでるのに悲しみと怒りにふるえていました
お弁当屋の正社員なんだって?
カッコ悪いよ
そういう親戚筋がいるってだけで破談になったの
責任とって! 責任とってよ!!
カオルは私のコマクが破れるくらいの大声を私の耳のそばで放ちました
失恋…
したんだカオル…
私はカオルの心の痛みの方がつらくて、思わず俯いてしまいました
オバサンたちが私たちを見ています
見ないであげて
見ないであげて下さい…
そのときトキシマが一歩前へ出ました
「あんたずいぶんな言い方だな。
何様だか知らないけど。
この子とここの人たちは、
仕事コツコツまじめにこなしてる勤勉なおつとめ人なんだ。
そういう人は誇っていいんだ。
見下される筋合いはない。
帰ってくれませんかね」
そうよそうよ
アカネちゃん
あんたも何か言ってやんなさいよ!
オバサンたちが気勢をあげる中
私はただただ涙になってしまって
結局何も言えなかった
カオルは青い顔のまま去った
泣いていた
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