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1.ツノルオモイ
「はああああ…行き詰まった…」
呟きながらアユミはベッドに倒れこんだ。
時計を見るともうすぐ日付が変わる時間。
今日の冬季講習は選択科目の関係で20時で終わったのでいつもより早く帰宅することができたのだが、自宅で机に向かっていたらいつの間にかこんな時間になっていた。
机に向かっているとはいっても勉強に集中していたわけではない。
まだ見ぬ受験への恐怖に、焦りと苛立ちが募り、ここ数日は勉強が手につかないでいた。やってもやっても、“これで安心”という感触がないのがツライ。
そして、焦りと苛立ちの原因は、それだけではない。
高校が冬休みになってから、塾の冬季特別講習以外は家から出ることもなく、アユミは勉強漬けの日々を送っている。
クリスマスに、ひとつ年下の彼氏、ヒロトとも会えなかった。
“早く受験が終わればいいのに…”
気が焦って、何も手につかない。
「…よしっ…お茶でも淹れてこよ」
膝にかけていた大きめのブランケットを肩を包むようにかけ直し、アユミは階下のキッチンに向かった。
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