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3.スピリチュアルワールド
俺は校舎裏のゴミ捨て場に向かって走っていた。
さっき予鈴が鳴ったので、他の生徒は教室に戻り、既に廊下を歩いている生徒はいない。
本来ならホームルームの前の掃除の時間中に運んでおくはずだったが、自分が当番だということをすっかり忘れていた。
“ゴミ捨て場はどこだったっけ… あ、あった”
俺は先月この高校に入学したばかりで、初めて校舎裏のゴミ捨て場にやってきた。
ゴミ捨て場の裏手は、収集車が一台通れるほどの狭い道があるだけで、道の反対側まで裏山が迫っている。午後からは山の陰に入るのか、鬱蒼とした場所だ。
ゴミ捨て場の周りに、人の腰の高さまで積まれたコンクリートブロックの囲いは内側で更に何等分かに分けられており、その一つずつに可燃物、缶、ペットボトル等の札が掛けられていた。
俺はその中で一番右の、一番大きな可燃ゴミのスペースに、運んできた大きなゴミ袋を投げ入れる。
めんどくさい仕事はさっさと終わらせたかった。
“さて、教室に戻ろう”
そう思って教室の方に戻ろうとした瞬間、ゴミ捨て場のコンクリートブロックの壁の向こうで何かが動いた。
ゴミ捨て場の壁の向こうに隠れるように座っていた女子生徒が急に立ち上がったのだ。
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