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アユミ自身としても、キモく、恥ずかしい文章だと思うが、わざとベタにヒロトへの正直な思いをノートに吐き出すことで、受験が終わるまではヒロトへの思いをこの中に閉じ込めることにしていた。
まあ自作の詩といっても、アユミの好きな Perfumeの歌の歌詞のオマージュだし、ノートに封じ込めた効果は全くないのだが。
“明日の大晦日の講習は朝9時からだから、午前2時まで勉強して寝よう…”
妄想の世界のヒロトと触れ合うことでココロのモヤモヤが少し晴れたので、アユミは再び参考書と向き合い始めた。
次の日
大晦日の特別講習は、22時に終わった。
いつも塾が遅くなる日は父親が車で塾まで迎えに来るのだが、今夜はこの後家族みんなで年越しの初詣に行くため、特別講習が終わり次第、アユミはタクシーに乗って、先に神社に向かった家族と合流する手筈になっていた。
アユミは講習が終わると教室を飛び出し、タクシーを止めようと外に出た。
若干講義が伸びたため、既に22時30分になろうとしていた。
“このまますぐタクシーに乗れば、23時過ぎには神社に着けるかな…”
そう思ったが甘かった。
大通りに出てタクシーを止めようとするが、空車が来ない。
初詣や、年越しカウトダウンイベントに向かう人だけでなく、年末に久しぶりに合う顔と飲みに行く人達が多いのだろう。
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