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「朝比奈さん、メッセージ入ってるよ」
相変わらず携帯放置の朝比奈さんより、先にメッセージに気づくのは私ということが多い。
毎日、というわけでもないのだけど、どうでもいい内容であったりもするようで、最近朝比奈さんは返信しないことも増えた。
そして今は、というと。
ソファに座る彼に腰を抱き寄せられ、今まさにキスをしようとしていたとこで着信が鳴ったわけだが。
朝比奈さんがぴくっと眉を痙攣させた。
明らか、今イラっとしてた。
「いいよ、この時期急ぎの連絡なんてないだろうし後で見る」
「でも万が一……大事な連絡かもしれないし」
キスを続けようとする彼の唇を手のひらで遮って、笑顔を乗っける。
暫し沈黙の後、ふっと、彼が溜息をついて私の腰にあった手を緩める。
私はテーブルに手を伸ばして、彼のスマホを手に取り差し出した。
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