君キス2~戦う女

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「ぶっ!」 彼の顔を見る前に、いきなり抱き寄せられて顔面が彼の胸元にぶつかった。 メイクが。 口紅だとかファンデだとかが彼のスーツを汚してしまうと、慌てて顔を離そうとするのだけどがっしり後頭部を抑えられた。 「朝比奈さんっ?」 「んー?」 ぎゅうぎゅうと片腕で抱きしめられていれば、体温と香りが私を浸食していく。 浸ってしまいそう、だけれどここはオフィスだ。 「朝比奈さん、誰か来たら」 握ったままだった彼の袖口が離れていった。 その直後、真後ろの扉でかしゃんと音がする。 「誰も来ないよ」 「ちょっ、何して」 「今のは君が悪い」
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