君キス2~戦う女

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九月、十月は店舗が穏やかな時期なので、あの突発事故のようなミスさえ起きなければ落ち着いて仕事がこなせる時期だ。 といっても、暇だというわけでもなく、クリスマス商戦の下準備は既に始まっているのだが、仕事の流れが確立しているので、残業もそれほどなく定時に帰れる日が続く。 この先、ぞっとする繁忙期が待っている……それを身をもって知っている私たちは、自然どちらからともなく、一緒に居る日が増えた。 ほぼ毎日、どちらかの家でふたり一緒に居る状況は、同棲と何も変わらない。 甘い蜜月を過ごし、『木藤』という人のこともその内気にならなく……と、いうわけにもいかなかった。 仕事の関係の人のはずなのに、プライベートな時間をいつも狙って着信が鳴る。 通話でかけてくることはなく、いつもメッセージのようだった。
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