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こんこん、と小さくノックをしたが返事がなかった。
「朝比奈さん?」
静かに引き戸を開ける。
それだけでは薄いカーテンで戸とベッドが仕切られていて、見ることができない。
木藤さんと笹木さんは遠慮がちに入口付近で立ち止まり、私だけカーテンの向こうを覗いてみた。
「寝ちゃってるんですか?」
「だったら私は今日はもう帰らせてもらうけど」
「俺も、また後程でも……」
小声でそう気遣ってくれるふたりに振り向いて待ってくださいと手でジェスチャーをする。
昨日強く頭を打ったところだし、元気そうに見えてまだ本調子ではないだろうとドクターから聞かされている。
やっぱりつらいのだろうかとベッドの傍まで近寄れば、少し苦しそうに眉根を寄せていた。
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