君キス2~戦う女②

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そう思えば思うほど、何をすればいいのかわからなくなる。男性と全く同じ分野で張り合ってしまえば、女性が不利に決まっている。 女性らしい細やかさ、気配り、発想……そういった曖昧なものに頼らざるを得ないところが、辛いところだ。 「……例えば男性に頼ってしまえば、女性が他の面で男性に返せるものがあるのかどうか、考えてしまいます。そうなると、よっぽど気の置ける相手でないと頼るのを躊躇います」 「そうだね。男も女も関係なく、助け合えれば理想だけれど、綺麗ごとでもあるね」 「ですよね、男性に助けられることの方が多そうですもん。そしたら結果、『男性社員の方が効率的』という答えが出てしまう」 「それでも僕は、いつか自分のエリアを誰かに渡すなら他の男性社員より伊崎より、吉住が一番いい、そう思ったよ。だからあの時、専属の補佐を君に指名した」 さっきまでのキスの甘やかな余韻は、会話の中にはもうどこにもない。 ただ寄り添う体温だけだ。 つまり。 『吉住が一番いい』 そう言われたのは、公私混同ではなく……上司としてあの頃そう思っていてくれた、ということだ。 驚いて隣を仰ぎ見れば、彼の表情が穏やかに微笑んで私を見ている。
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