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翌日、日曜の朝早くホテルをチェックアウトすると、真直ぐに病院に向かった。
朝比奈さんも病室にずっと閉じ込められて早く出たかったのか、昨日病室に届けておいた私服に着替えて準備万端だった。
午前中に診察を終えて、向こうに戻ってからお世話になる病院への紹介状を受け取って、退院となった。
額を縫っているのでまだしばらくは病院のお世話にならないといけないらしい。
傷口の消毒もしないといけないし、心配だから暫くは朝比奈さんのマンションに泊まってもいいかなあ。
駅までタクシーに乗りながら勝手に予定を考えていれば。
「真帆、せっかくだし観光でもして帰る?」
などと、朝比奈さんは大変呑気にしてらっしゃった。
「何言ってるんですか! 怪我人なのに!」
「そんな大した怪我じゃないし大丈夫だよ」
彼の目が、窓の外を見ている。
賑やかな通り、ビルの隙間から見える空は晴天だった。
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