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「そんな、可愛いとか言うのは朝比奈さんだけですからご心配なく」
私は逆に朝比奈さんの視力が心配です。
茶化そうとしたのだが、そんなことで誤魔化される朝比奈さんではなかった。
「心配に決まってる。あの男に話せて僕には話せないことがあるの?」
「や、そういう、わけじゃなくて」
寧ろ、朝比奈さんとのことだから朝比奈さん以外の人に聞いてみたい話があった、てことなのだけど。
後ろから抱きすくめられたまま、彼は責める言葉を発しているけれど声と仕草はひたすら甘い。
相変わらず私のお腹を撫でながら、少しずつ肌に触れる面積を増やしている。
うなじから耳の裏まで熱い吐息がかかり、何度も不意打ちのようにあちこちにキスで触れる。
「言いづらいなら、身体に聞こうか?」
耳の淵を唇で挟みながら、こちらが恥ずかしくなるようなことを言うものだから。
私は呆気なく白旗を上げた。
「そういう変なこと言うのやめてくださいっ!」
もう勘弁して!
まるで恋愛小説でも読んでいるかのような甘ったるい言葉責めにあえなく陥落した私は、このところ考え込んでいたことを洗いざらい喋らされてしまった。
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