朝比奈さんの苦手分野

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背中にソファのクッション、真上から微笑む朝比奈さん。 ソファの淵に手をかけて、やんわりとその空間に閉じ込められているような錯覚に陥る。 「その気って、どういう」 「ん? 仕事よりも結婚したいって思えるように?」 そのまま距離を詰められ、額や頬、唇にいくつも優しいキスが降った。 そこから唇は、耳、首筋、襟を引いて鎖骨へと、徐々に際どい場所へと近づいて、私の肩がぴくっと跳ねた。 すっかり慣らされている私の身体は、甘い空気を感じただけで期待し始めてしまう。 だけどそれは、あくまで身体が、であって、今ここで心までこんな行為で流されてはいけない。 「やらしいことして無理矢理言わせる、とかいうのはナシですよ」 「そんなことしないよ、これはコミュニケーション」 そうして唇は重なり、深く濃く、蕩けるようなキスになる。 ……良かった。 この方法で責められていれば、きっと私は朝には結婚すると言ってしまう気がする。 そういう形で納得させられるのは嫌だ。
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