奪うものの分だけ、それ以上

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「私ひとりじゃ、とてもできなかったです」 「仕事はそういうものだよ。ひとりでするものじゃない」 確かにその通りだ、と思う。 マネージャーとはそういう仕事だ。 店舗、業者他、様々な人との繋がり、パイプ役も担っている。 彼の力が大きいと感じることに違いはないけれど、元々が私ひとりのものではないのだ。 そう思うと、素直にお祝いの言葉を受けとめることができた。 「……うん。お店の子たちも、皆すごく、頑張りました」 「真帆もね」 「うん」 そう素直に認めたら、きっと彼は切り出すだろうとわかっていて言葉にした。 してしまえば、ふっと力の抜けた笑顔が浮かんだ。
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