奪うものの分だけ、それ以上

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エスコートしてくれた最上階のレストランからの眺めは、素敵だった。 店の雰囲気も何もかもがキラキラして、緊張よりもいつのまにかこの雰囲気に酔いしれる。 「綺麗な景色」 「気に入ってくれて良かった。たまにはこんなデートもいいね」 私が景色に夢中になっている間に、由基さんがシャンパンを頼んでいたらしい。 「あれ……今日は車は?」 「今日は部屋を取ってある。お祝いだしね、ゆっくりしよう?」 細長いグラスに注がれた液体の中で、くるくるくると細かな泡が上っている。 「お祝い?」 「予算達成おめでとう」 今回初めて、彼がこの話題を口にしたことに再び緊張が戻る。 彼がグラスを掲げ、私も慌てて手に取った。 「大変だったと思うよ。本当によく頑張ってた」 「ありがとうございます……大変でしたけど、由基さんにもいっぱい助けてもらって、そのおかげです」 じわ、と目頭が熱くなる。 「僕は何もしてないよ」 なんて、彼は言うけれど。 私はもう、確信している。
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