番外編SS

10/41
前へ
/41ページ
次へ
舌先が触れ合う。 薄く目を開けたままでいると、彼女の瞼がぴく、と震えているのがわかった。 たまらず絡め取って擦り合わせると、甘さが口の中に広がったような気がしてじゅんと唾液が溢れる。 濡れた唇が擦れ、ざわ、と肌が粟立つほどに気持ちが良くて、つい夢中で彼女の口内を舐めた。 彼女の息が上がる。 ん、と彼女が洩らす声を僕が飲み込み掻き消して、舌先に歯を立てる。 首筋を支える指が、無意識に彼女の肌をくすぐって、耳の縁を撫でた。 その瞬間だった。 ぴくっ、と彼女の身体が跳ねてしまった。 唇は合わせたまま、互いに息を潜める。 もぞ、と彼女の胸元で、花帆が動いた気配がする。 「……ふぇっ」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3756人が本棚に入れています
本棚に追加