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可愛い声が、下から聞こえてくる。
もぞもぞと動く気配に、僕も真帆もつい笑ってしまって、キスは逸れた。
「花帆、起きた?」
真帆が母親の顔で、俯いた。
僕も真帆のすぐ隣から、真帆の胸元で伏せて寝ていた花帆を覗き込む。
ごしごしと母親の胸に顔をこすりつけてから、ぱっと上げた。
「おはよう、花帆」
今なら寝起きだし、真帆に抱かれた状態なら大丈夫だろうかと、期待した。
「……花帆?」
僕と目が合うと、ぴたっと固まってしまった花帆は、みるみる顔を真っ赤にしたかと思うと。
「びゃあああぁぁぁっ」
「花帆!?」
「だめか。ちょっと離れてるよ」
「えっ、由くんっ」
申し訳なさそうにこっちを見る真帆の頭を撫でてから、リビングを出る。
……足りない。
真帆も花帆も足りてない。
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