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会社を出てすぐに連絡を入れていたのに、帰る時間が遅くなった僕を心配していたのだろう。
リビングから、真帆が小走りに出てきて出迎えてくれた。
「由くん!」
「ただいま。遅くなってごめん」
寄りたいところが出来たから、と追記でメッセージを送っておいたのだが、既読が付いていなかったことについさっき気が付いた。
ぽふ、と突然、胸の中に飛び込んできた真帆を受け止める。
「真帆? 悪かったよ、後からメッセージを入れたんだけど」
「そうなの? ごめん、スマホ見れてなかった……」
ひどく心許ない顔をしている彼女に、悪いことをしてしまったと額と唇にキスをする。
それにしたって、泣きそうな顔をしているのが気になった。
「……真帆?」
「帰るのが、嫌になっちゃったのかと、思って……」
このところ花帆に泣かれてばかりの僕を心配してくれていたらしい。
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