番外編SS

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どうにかして、人見知り対策を見つけたかった。 もしくは、いつ頃までは続くがいずれは元に戻るだろう、という安心できる情報が欲しかった。 平日夜のベビーホンポは閑散としている。 会社帰りのスーツの男がひとり立っているのは浮いていたかもしれない。 育児書が置いてある書棚で手にとって捲っては戻し、を繰り返していた時だった。 やけに賑やかな一団がフロアに入ってきたのは。 「パパー! お菓子買っていい?」 「ダメだって、さっき飯食ったとこなのに」 「明日! 明日のおやつにする!」 「こら、店の中は走らない!」 父親が子供ふたりにまとわりつかれながら、走り出すのを首根っこを掴まえながら奮闘していた。 小学生と思われる男の子と女の子、それから、押しているベビーカーには多分三才くらいだろうか、男の子を乗せている。 とても大変そうだ。 だが、今の僕には羨ましい。
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