3757人が本棚に入れています
本棚に追加
それでもやはり気になって、髪を乾かすのもそこそこにして、急いでリビングに戻る。
廊下との境目の、すりガラスのドアをそうっと開けた。
しん、と静まり返った部屋に、何かの音が聞こえてくる。
「由くん?」
リビングに置いてあるベビーベッドのすぐ傍の、ラグの上で、由くんが胡坐をかいているのが見えた。
珍しい座り方をしているな、と首を傾げながら近づく。
なんともいえないくらい、愛おし気な目を自分が組んだ足の中に向けている。
見れば、そこには花帆が由くんの足に凭れて両手と両足を動かしながら、うっとりとした表情であかちゃんせんべいをしゃぶっていた。
由くんと花帆の周囲には、あかちゃんせんべいだけじゃない。
色々試そうと思ったのか、ボーロだとか小魚せんべいだとか、市販のフルーツペーストだとかが散らばっている。封が開いているのは、あかちゃんせんべいだけのようで、そこはホットする。
最初のコメントを投稿しよう!