ある土曜日

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きっちりと締め切ったカーテンの隙間から、じんわりと光が入り込んでくる。 今日は外は曇り空、光は朝の到来を継げるため、真っ暗な部屋を優しく包んでいく。 静まり返った一帯に響くのは、冷蔵庫の鈍いうなり声と、穏やかな寝息だけだ。 窓からは少し離れたテーブルの上、いつからか一定のリズムで点滅を続けていた黄緑色のランプが、ピッという小さな音とともに姿を消した。 しかし代わりに、そのランプの持ち主である卓上電子時計が、「土曜日」と表示された文字盤を携えて姿を表した。
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