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「そうね。本当に限界を見たんじゃないかしら。……だからこそ、あの彼氏さんの手を素直に掴む事ができたんでしょうね。やけになってたら………ううん。とりあえずは本当に良かったわ。最悪なシナリオも使わずに済んだしね!」
「本当だね。なんだか終わり方が本当に良かった。2人、幸せになって貰いたいな」
「俺、さっさとマンション引き払おう。この間オヤジから電話あって、『愛花ちゃんと上手くやってんのか』って言われて心臓が飛び出そうになったわ」
「お母さん達にバレない内にね!」
やっとみんなで笑い合っていた。
歩美が陸人に聞いてきた。
「ね、八木澤さんって奥さん居ないって聞いたけど、いくつ?」
「確か、まだ30代だよ?プロデューサーとしてはかなり若い時から腕を買われていたからトントン拍子の出世頭。八木澤さんに憧れて局スタッフになった人もかなり居るんだよ。………なんで?」
「…………いや、本当に喪服が必要らしいから……」
「は?」
「喪服?」
みんなで歩美を見つめると、歩美は真っ赤になり、モジモジとやっといきさつを話始めた。
「や、八木澤さんと?!」
「で、デート?!」
「あ、あはは………多分、気分の気まぐれだと思うけど………『いつにする?いつが暇?俺はいつでも急病で忌引きになる準備はできてるから』とか言うから………。まあ、冗談なのかもしれないけど、ほら、八木澤さんっておちゃらけたりするし………」
中森さんが笑いながら言った。
「歩美ちゃん、多分、それ本気で口説いてるわよ!八木澤さん、興味ない人には無関心だもの!」
陸人も笑って言った。
「うん!八木澤さん狙いだったスタッフなんか挨拶しかしない!しかもおちゃらけたりなんか絶対しないから。……なんか納得ー!なんでか歩美ちゃんにはかまうなって思ってたからさ」
歩美の顔はとうとう耳まで真っ赤になった。
「…………あの、愛花………可愛い喪服あったら貸して?」
大爆笑になった。
アパートに戻ると、愛花は興奮して陸人に話しかけた。
「八木澤さんと歩美かあ……以外な組み合わせだけど似合ってるかもね!」
「似合ってる。多分、八木澤さんおちゃらけてしか歩美ちゃんに話しかけれないんだろうな。普段厳しいとこあるし」
「照れ隠しか!八木澤さんも恋したら1人の男性なんだね」
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