52話 それぞれの道へ

2/9
2367人が本棚に入れています
本棚に追加
/473ページ
「それを言うなら歩美もだ。夏希さんの引退記事書いたの歩美なんでしょ?小田さんに聞いたよ!」 「1度取材したからかなあ?それよりさ、小田さんに彼氏ができたとバレたんだけど………まさか、『八木澤さん』とは言えなくて参ってるよ」 「そうだよ!八木澤さんと順調?」 「えへへ………順調。………私、あんなにもう恋愛は無理って思ってたのが嘘みたい。八木澤さん、態度にすぐ出る人だから、自然で居られるし、私を好きなのもわかるから、………一緒にいると、なんか安心して側に居れるんだよね」 「八木澤さんがねえ。やっぱり年上だから?」 「………年上関係ないよ。私怒鳴ってばかりだもん。八木澤さんだらしないからギャーギャーすぐに言っちゃう」 「へええ!歩美しか知らない1面だね!………で、聞いていい?」 と、愛花が含み笑いをして、歩美はすぐにわかった。 「まあ………うん。たださ、私処女だったわけじゃん?……なんだかえらく感動して『一生俺のだあああ!!』って、ムードも何もなかったよ………。できれば最初は抱き合って、終わったら『痛くなかった?』『うん』………みたいなの、少し期待してたんだけどなあ……勝ち誇って『一生俺のだあああ!!』って………」 「あははは!八木澤さんらしいじゃん!歩美だからだよ。本当に一生大事にしてくれるんだろうね!」 「そういう愛花はまだバカップル?」 「バカップル!!………だけど、なんだか陸人ってほぼ私だけだからかなあ?………エッチがどんどんアブノーマルに走り出したよ……」 「まさかSMとか?」 「SMまではいかないけど、縛ったり、ローションプレイしたり、オモチャは当たり前になったし……」 「でも、イヤではないと?」 「あははは………はう…気持ち良かったりしてしまう。だって愛情は感じるからね。浮気も絶対ないだろうしね」 「わ、私もそうなったりするのかな?」 「愛があればプレイの一環でできるかもよ?」 「わ、私、とりあえずはムードがあるのをしてくれなきゃイヤだーっ!!」 「あははは!確かにね!頑張れ頑張れ!」 愛花の映画は冬までには撮り終えなくてはならなくて(街路樹や街の景色が冬になると場面が変わる為)急ピッチで撮影は進んだ。 当然ながら陸人には悪いけれど、学業も入って『宝動画』のお世話になる日々が続いた。
/473ページ

最初のコメントを投稿しよう!