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「…………俺がさ、本当に愛花を大好きで、愛花を本当に嫁さんにしたいって、守っていくって誓った木だからな。切れないだろ」
「私も誓ったよ。………幼い私は多分花嫁さんになるーって方が喜んでいたんだろうけれど、2回目のプロポーズはさすがに忘れてないよ………さすがに、まだ蕾もないね。………だけど、あれから………もうすぐで1年経つんだね………」
「いろいろあったな。………家はお隣さんから家族になるし、愛花は強くなって、この世界で必要な女優になったし」
「陸人も地下アイドルだったのが嘘みたいだね………。今じゃ一流俳優の仲間入りしてるもん」
陸人が木蓮に触れて言った。
「…………本当にさ、この木、木蓮って、愛花なんだよな。………いつだったかな?愛花を見ていた時に凛としていて、儚げなのに折れない花。………綺麗に咲いているのに芯は木の枝のようにしっかりとしていて、………この木は愛花の木なんだって思った。……綺麗に陽に向かって咲く、木蓮………。愛花の木を切るわけないだろ?」
「……………私なのかな?。……なんだかこの木には陸人のお母さんの想い出もあるような気がするけど………」
「………確かに母さんもこの木を好きだったな。だけど、この木は愛花。………想い出は過去だけど、この木はまた春先に綺麗に花を咲かす。今を生きて、強くしっかりと花を咲かせて実をつける。………愛花だろ」
「陸人、…………ね、もう1回プロポーズして?」
「ん?」
「………もっと、実感したいから。ちゃんと明日、陸人の横に並びたいから」
この日も、あの日と同じくらいに月が綺麗だった。
陸人は愛花の肩を掴んで、真っ正面に向かい合った。
月灯りに照らされた陸人は、あの時よりもカッコ良くて、またドキドキした。
「……………愛花、俺のお嫁さんになって下さい………」
変わらないね。私達は。私はずっと陸人が好きで、陸人も私を好きでいてくれてた。
私はきっといつまでも陸人を好きなんだろうな。
どうしたら、本当にこの気持ちを全部伝えられるのかな?
一緒にいるなら、毎日伝えよう。
毎日幸せで過ごせるように。
陸人が一緒なら、私はずっと幸せでいられるから。
「……………陸人、私を陸人のお嫁さんにして下さい」
陸人の顔が、ゆっくりと愛花の顔に近づき、唇に触れた。
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