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53話 隣
愛花のウェディングドレス姿は本当に誰が見ても羨ましくなるくらいに綺麗だった。
ベールは長く、ドレスは純白で、裾は大量のレースで巻かれて花のように止められていて、本当に『眩い』が似合う花嫁姿だった。
さすがに控え室で感無量になった母親も父親も涙を溢した。
「やあね。晴れの舞台で泣かないでよ」
「………いえ、本当に綺麗よ……」
「本当に自慢の娘だよ。………いろんな事を乗り越えて、ちゃんと自分の幸せを掴み取ったんだからな………」
「お父さん、お母さん、………本当にありがとう……」
まだチャペル前なのに、みんなして涙を溢れさせていた。
ノックの音がして係の人が顔を出した。
「新婦さん、準備よろしいでしょうか?」
「……はい」
返事をすると、タキシードに身を包んだ陸人が現れた。
陸人は一瞬止まって、それから言った。
「……花、咲いたじゃん」
それは愛花にしかわからなかったけれど、最高の誉め言葉だと、笑顔になった。
「陸人も………惚れ直した。私でいいのかなって思うくらい、……カッコいい」
「いや、俺………本当にこんな綺麗な嫁さん、貰っていいのかな?」
大真面目に言ってるのがわかり、2人して笑顔になった。
教会は本当に親族と親しい人しか入れて居ないので、静かに神聖な雰囲気に包まれた。
『陸人さん、あなたは今愛花さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。
汝 健やかなるときも 病めるときも 喜びのときも 悲しみのときも 富めるときも 貧しいときも これを愛し 敬い 慰め遣え 共に助け合い その命ある限り 真心を尽くすことを誓いますか?』
「はい。誓います」
『愛花さん、あなたは今陸人さんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。
汝 健やかなるときも 病めるときも 喜びのときも 悲しみのときも 富めるときも 貧しいときも これを愛し 敬い 慰め遣え 共に助け合い その命ある限り 真心を尽くすことを誓いますか?』
「はい。誓います」
きっと私と陸人は何度でも誓う。
永遠に思い合っていけるから。
涙が零れそうになり、ふと見ると、陸人の目にも涙が溢れていた。
教会を笑顔で出ると、みんながライスシャワーや花びらを投げてきた。
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