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かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち
おっさんはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「ウィトルウィウス的人体図」に似ていた。というか瓜二つで、レオナルド・ダ・ヴィンチはこのおっさんをモデルにして「ウィトルウィウス的人体図」を描いたのかもしれない。
「ウィトルウィウス的人体図」は1487年頃に描かれているから、レオナルド・ダ・ヴィンチがおっさんを描いたのだとしたら、おっさんは数百才ということになるか、あるいはタイムマシンを使ったのか、どちらであっても今の俺なら驚かない。宇宙人らしき何者かに誘拐され歯車に改造され、ここでこうして訳も分からず回転していることよりかは、ずっと現実味がある。
おっさんとの意思疎通は面倒で、そんなことよりナオミを口説き落とすことに時間を使わなければならない。だから、なにか質問したことはない。だいたいの意思疎通はおっさんが俺の恋を冷やかし、俺が呪詛の言葉を返すということに集約されている。
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