必然の歯車

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 かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち  正面のおっさんは三人の女と噛み合っていた。おっさんを中心にして、三人の歯車化された女が連結し、回転している。その複雑な絡み合い方を言葉で表現するのは難しい。一人との絡み合いに注目して言語化することにする。それが三倍、いや、背後のおっさんも似たようなことになっているから、三倍の二重に起こっている。  おっさんの手と、女の手が重なり合う。女の手はゆっくりとした回転とともに、男の腕をなでていく。男の手も同様にして、女の腕をなでるが、手のひらでなく、手のこうで、腕の内側をなでるのだ。女の方は手のひらで、男の腕の外側をなでる。  おっさんの手が脇まで到達すると、今度はふっくらとした白い胸の輪郭をなでることになる。快楽を感じているのか、そのときに女は少し身をすくめる。脇をなでられるよりも、胸をなでられる方が感じるらしい。回転は不断に続く、指先は胸から離れ、脇腹をなぞり、へその近くで肉体から離れる。
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