必然の歯車

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 かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち  宇宙人がなにを考えているかなんて分かりっこないから……宇宙人がなにを考えているかなんて考える必要もないと思う。よく人間は、いや地球人は常々、自分のモノサシで他者を計ろうとして失敗する。  たとえば人種差別……、神話とか宗教、法律さえもが差別感情を支持することがあったし、実は今だってなにも変わっちゃいない。俺から見れば、神話にも宗教にも法律にも真実はない、あるのは作為と解釈だけだ。ツールとして使われる限り、子供たちを教育という名のもとに都合の良い存在に作り変えるものであり、殺人や戦争を正当化するためのものだった。  時間とは恐ろしいもので、だれもが死んで口をなくした。嘘も百遍つけば真実になる。勝てば官軍という言葉の通り、勝者の意見が残り、敗者の意見は常に葬り去られてきた。そうして作られた価値観や支配者に都合の良い解釈が、神話とか宗教とか法律という形式をもつと、まるで原初からあった自然、常識というふりをする。地球人は植えつけられただけのイデオロギーを本来持っていた自分のものだと錯覚しさえする。
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