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かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち かち
音とともに、ナオミの声も、後頭部も少しずつ離れていく。俺たちは歯車にされていた。ゆっくりと回転しながら、近づいたり遠ざかったりを繰り返している。だいたい六分の周期で頭部が最接近し、そのとき唇をひょっとこのように突き出せば、キスすることは可能だ。あの真っ赤な唇。エナメル質の。きっと国産黒毛和牛の味がする。
俺たちを歯車に変えた存在は、正体不明だが、おそらくは宇宙人である。
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