この世界じゃない世界のどこか

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 「お腹がすいた」  とニッキは言った。  「オレもお腹がすいたな」  とグリンは言った。  ニッキは嬉しそうに顔を輝かせた。そして、  「じゃあ、いっしょに何か食べよう」  と言った。  グリンは断ろうと思ったが、ニッキはどんどんグリンの家に入ってきて、  「うわー!」  と歓声をあげた。  「すごいや。広いし、公園みたいだ」  と言った。  「ねえ、これ乗っていい?」  と屋根から下がっている、ブランコを揺すった。  ブランコは、グリンのお気に入りだったので、  「ダメ。オレが乗るやつだから」  と言った。  「じゃあ、僕のも作ってくれる?」  とニッキはさらに嬉しそうにグリンを見つめた。  (面倒くさいな)  とグリンは思ったので、  「じゃあ、朝ごはんが出来るまで乗ってもいいぞ」  と言った。 そして大急ぎで朝ごはんの支度をした。  (早くブランコを取り返さないと)  赤い木の実。黄色い木の実。グリンが焼いたパン。泉でくんできた水。  グリンが作った木の切り株のテーブルにのせる。いつもは一人分だけど、今日はふたりぶん。     
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