この世界じゃない世界のどこか

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 イスが1つしかないな、とグリンは思った。そこでちょっと外へ出て、小さな丸太を拾ってきた。あいつは小さいから小さな丸太でちょうどいいだろう。  家のドアを開けるとき、  (もしかして、いなくなっているかもしれないな)  とグリンは思った。  グリンと一緒に朝ごはんを食べたいと言った動物は、今までいなかった。だからあの、にんげんのこどものニッキも、食べ物を持ってどこかに行ってしまっていてもおかしくない。  でもグリンが家に戻ると、ニッキはブランコに揺られてゲラゲラ笑っていた。  グリンは、お腹の中がムズムズするのを感じた。そして、丸太をテーブルの横に置いた。  グリンは今まで、嬉しいことなんて何もなかったから、お腹のムズムズが、ウキウキして楽しい感じだってことはわからなかった。  だから、ただニヤッと笑っただけで何も言わなかった。  「すっごい! 丸太? すっごい!」  ニッキはたちまちブランコからおりてきて、さっと丸太のイスに座って、足をブラブラさせた。  「お腹すいた!」  とニッキが言った。  「オレもお腹すいた」  とグリンが言った。  二人はグリンが用意した朝ごはんを食べた。  
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