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「ふん。あいつらは、オレの事が嫌いなんだ。オレもあいつらなんか好きじゃない」
「うーん、でもどうしてさ? ニンジンあげたら、好きになってくれるかもしれない。仲良くなれるかもしれない」
「優しくニンジンをあげてみろ、また来るぞ。それでまたあげてみろ、別のヤツだって来るぞ」
「うん、それで、みんな感謝するよ」
「俺たちの分がなくなるぞ。それに、オレの事が嫌いなのに、何かもらうときだけ来たって、嬉しくもなんともないぞ。何かあげたからって、好きになるわけない。オレの方だってあいつらなんか好きじゃないんだからな」
「うーん。でもじゃあ、どうしてニンジンをあげたの?」
「お清めだ。さっぱりするだろ」
「そうかもしれない。でも放り投げられた物を拾うより、手で渡してもらった方が嬉しいんじゃないかなあ?」
グリンはふんっと鼻をならした。
「そりゃあその時はそうかもしれない。でも何かもらったら、嫌いなヤツに借りを作ることになるんだぞ。お清めにまいた物拾ったって、借りにならないんだから、結局はその方がいいんだ。だってあいつらはオレの事が嫌いなんだから」
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