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なんだか謎かけみたいだとつぶやいて、ニッキは首をひねった。
それからもたまに動物達が食べ物をもらいにやってきた。そのたびにグリンは動物達を追い払った後に、お清めだといって、リスにはドングリ、キツネには魚を放り投げた。
誰もグリンにお礼を言わなかったけど、そのたびニッキはグリンがますます好きになった。
そこでニッキは誰もグリンにお礼を言わないなら、自分がグリンに何か良いことをしてあげようと思いついた。
「ねえ、グリン。グリンの誕生日はいつ?」
「知らない」
「ねえ、グリン。好きな物はなに?」
「雨の日だ」
「ねえ、グリン。欲しいものは何?」
「もう全部持ってる」
「えっ、本当? 欲しいもの、みんな持ってるの?」
ニッキは驚いて聞き返した。
「ぼくはねえ、」
とニッキは言った。
「僕の誕生日は明日だよ。僕の好きな物も雨の日。グリンとずっと、一緒にいられるから。それで欲しいものは、ハチミツたっぷりのホットケーキ」
「ふん」
グリンはニヤリとした。
「そんなの簡単だ。」
グリンは逆さまのてるてる坊主を作って、窓に下げた。それからハチミツをとりにいって、小麦粉を床下貯蔵庫から出してきた。
「わーい」
ニッキは喜んだ。
「誕生日は明日だろう?」
とグリンは言った。
「明日は雨が降って、グリンといられればそれでいいよ。ホットケーキは今、食べたい」
「オレも食べたくなった」
ニッキは卵をパカンと割って、ボールに入れた。力が強すぎて、卵のカラも一緒に入ってしまったので、グリンが細い指で器用に取った。
牛乳も入れる。混ぜる。
ニッキが小麦粉をふるう。勢いがよすぎて、部屋中に粉が舞い散った。ニッキは粉を追いかけて走り回ったので、ニッキも粉だらけになった。
グリンはバターを温めて溶かした。
ニッキはバターをなめた。
グリンはフライパンを温めて、ホットケーキのタネを丸く流した。
フツフツとホットケーキのまわりに穴があいてきた。
「それっ」
グリンのかけ声でニッキがホットケーキをひっくり返したけど、フライパンからはみ出て、丸い形が崩れた。
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