睡眠世界の結末は

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 1. 日曜の朝。俺は一人ベッドの上で目を覚ました。 スマホで時刻を確認し、首を横へと向ける。 そこには自分の枕と並ぶようにしてピンクの枕があるだけで、その持ち主の姿はどこにもない。 耳をすまして気配を探るも、物音一つ聞こえることはなく、俺は ――ああ、まだ戻ってきていないのか。 と深い吐息をつきながら、のそりと身を起こした。 瀬戸内 茉那(せとうち まな)。七年前に職場で知り合い、その二年後に妻となった俺にとって最愛の女性。 付き合っている頃は気がつくことができなかった――と言うより、茉那がばれないよう隠し続けていたせいだ――が、彼女には他人にはないかなり特殊な性質があった。 正直、性質という表現で合っているのかもよくわからないのだが、茉那は眠りにつくとこの世界から消えていなくなる。 最初本人の口からこの話を聞いたときは、ふざけているのだと思い軽く受け流してしまったものだったが、実際夫婦になり一緒に暮らし始めて、それが嘘偽りない真実なのだと思い知らされるはめとなった。
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