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もうすぐ、茉那が戻ってくる時間だ。
彼女が消えたその場所に、そのまま彼女は戻ってくる。
その瞬間だけは目を逸らしていなくてはいけないため、俺は眠気が尾を引いているような深いため息を一つついてから起き上がり、コーヒーを淹れるためにキッチンへと向かった。
“今日はね、立ち寄った村から依頼を受けて山に住むドラゴンを退治に行く予定なの。その辺にいる弱いモンスターとは実力が違うから、結構苦戦することになるかも。あっちのパパも、油断するなっていつにもまして怖い顔で言ってたし”
昨夜、寝る前に交わした会話を思い浮かべながらインスタントのコーヒーをカップへ入れる。
“大丈夫なのか? もし何かあったらどうするんだ。夢の中の茉那はまだ十九なんだろ? そんな未成年で危険な相手と戦わせられるって……おかしいだろ”
不安になりそう言葉を返した俺に、茉那は屈託なく笑い
“大丈夫よ。あっちのあたし勇也(ゆうや)よりずぅっと強いし、心強い仲間だってたくさんいるんだから。今までも勝ってきたんだし、今回もいける。それにね、報酬がすごいの! こっちの世界でなら五百万くらいの額が貰えるんだよ。そうしたら、暫くは旅を休んんでゆっくりしても良いかなってパパたち言ってた”
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