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クシュンッ、クシュンッ………
リンは2つ程、大きなクシャミをした後、ブルッと身震いをして、肩を抱きカタカタ震えていた。そして、頬っぺたを大きくふくらまし、抗議の声をあげる。
「寒いって言ってるのに、お前が早く温かい羽織る物を出さないから、風邪ひくだろー。俺が風邪ひいたらどう責任取ってくれるんだよ!」
蒼は、その横柄で自己中心的な姿をみて大きなため息を1つ吐き、クローゼットから自分の服を出した。
「リン、お前は俺より大きいからさ、サイズが小さいかもしれないけど、裸よりマシだからコレ着ろよ。あっ、パンツは、俺のお古は嫌だろうから新品な。でも、猫ってしっぽの締め付けとかあるからパンツ履かないのか……? でも、そのままだと嫌だよな? しっぽ用に穴を開けるか?」
そう言うと蒼は、テーブルの上にティッシュを敷きつめて小さく丸まって座っていたリンに自分がいつも着ている洗濯したての予備のグレーのスウェットを手渡す。
リンは、パンツとスウェットを不思議そうな顔をしながら蒼から受け取った。
「あっ、もしかして洋服を見たことないのか? お前たちは、人間の姿だとしてもパンツは履かない?」
「パンツ?」
「あーもうっ! しょうがないなぁ。スウェットを着る前に俺がパンツを履かせてやるから、お前は座ってないで立て!」
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