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それを見ながら『あー、コイツ元は猫だったな』とつい人間の姿をしていた為、猫であることを忘れそうになっていた自分に苦笑いをする。
そして、自分がこの奇妙な出来事を既に受け入れてしまっていることにビックリした。
(俺って、こんなありえない出来事でさえも、順応能力高いんだな……)
無邪気に紐で遊んでる青年の姿をしたリンが面白くて、イライラしていた気持ちを忘れ自然と笑みがこぼれる。そして、人間の姿になっても猫という事実は変わらなくて、そういう遊びが好きなんだなと思うのだった。
リンが遊んでいる間に蒼は、掃除機をかけ、夕方だったが少しだけと思い万年床だった布団もベランダに干して、窓を開け部屋の空気を入れ替える。
(俺、休日にこんなに働いたの久々だな……)
そう思いながら、少し額に汗が滲んでいたのを手で拭う。そして、ホッと一息つくと、リンが現れる前に自分がお腹を空かせていたことを思い出す。
夕飯の為にカップ麺を作ろうと台所へ向かいお湯を沸かし始めた時、ハタッと気づく。
(猫ってカップ麺食べてもいいのか? 塩分多いとダメだと聞いたことある気がする。ダメかやっぱり。でも、あいつはお腹すいてないのか。あ、でも勝手に押しかけて居座っているだけだし、そこまで気を遣う必要ないのか?)
色々考えてみたものの、結局リンのお腹が空いてないかが、気になってしまった蒼は、リビングにいるリンに向かって声をかける。
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