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「リン、リン―、お前、お腹空いてるか?」
「すいたー。ごはんくれるのか? なにくれる? またあの美味しいカニカマ?」
「あーごめん。カニカマは、今は無いな。ちなみにお前は、なにが食べられるんだ? しょっぱいのは身体に悪いだろう?」
「俺、しょっぱいのも平気。普通の猫と違うからさー」
「そこも規格外なのか? じゃあ、俺カップ麺食べるけど、それ食べるか?」
「美味しいなら食べる。俺、カニカマくれたヤツの味覚信じるよ。きっと、美味しいものなんだろう?」
そういうとリンはまたテーブルの上に寝転んで紐で遊び出した。1つのことに夢中になっていつまでも遊ぶという猫の集中力に感服する。
じっとその様子を見ていた蒼だったが、お湯が沸いた音がした為、キッチンへ戻る。そして、カップ麺にお湯を注いでテーブルに持ってこうとしたその時、猫は猫舌のはずだと思い出した。
猫舌だと、この熱いカップ麺を直接食べるのは、無理かもしれないと気づいて、急遽、リンのカップ麺を一時的に冷やすための取り皿を準備してリビングに向かった。
「リン、熱いのダメだよな? ごめん、猫は猫舌なの忘れていたから、この皿に一旦置いて冷やしてから、ラーメン食べてくれるか?」
「そうやって食べるんだな? わかった!」
リンはニカッと笑って、蒼が用意したリンの分のカップ麺が置いているテーブルの上をジーっと見つめていた。
「リン、食べないのか?」
「これ、どうやって皿に置いて冷ますんだ?」
蒼は、失敗したと思った。猫にラーメンを食べさせるなんて聞いたことが無い。それなら、ラーメン自体をどう食べるのか知らないはずだ。
(ちょっと、ラーメンのびちゃったかもしれないな……)
可愛そうなことをしたと思った蒼は、急いでカップ麺を開け箸で麺をリンの為に用意した皿に移す。
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