不思議な訪問者

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「大丈夫。俺ね、ずっと家でボーっと過ごしているから、親から結婚の相手見つけてくるように言われて、追い出されたんだ。もうそろそろ子ども作らないといけないんだって。俺ね、蒼のこと気に入ったから一緒にいて、つがいになるのはどうだ? お前、俺の嫁になれよ。それなら家に帰っても怒られないし、一石二鳥だろー?」 「はぁ? なんで、お前とつがいになるとか……そんな話になるんだよ。お前、俺がメスだとでも思ってんのかよ?」 「蒼、耳の後ろからいい匂いするし……。それに、ツンツンしながらも優しいし、自分のペースを乱さないところも、猫っぽくて俺は気に入ったよ。蒼がメスじゃなくても甘い匂いがするなら、俺たちがつがいになることも、なんら問題ないし」  猫とつがいになるなんて、問題あるだろう。しかも猫と人間を抜きにしても男同士だ。根本的なことを理解してないのではないかと蒼は思いながら、呆れたような顔をしてリンを見つめる。 「お前なー、俺は男。お前ら猫で言うところの、おまえと一緒でオスだって。それ、わかってる? 俺、女の恋人も10年もいなかったし、それが急に男とってさ。しかも、猫と恋仲になるなんて、ハードル高いし、無理無理!」 「はぁ? な、なんでだよ。俺たちは匂い的に、なんにも問題ないじゃないか……。むしろ、一緒に暮らすのも楽しく過ごせるだろうし、それにほら、交尾だって相性良くて、蒼は絶対気持ちよくなれるからっ!」  そう言うと、リンは思いっきり頬を膨らませて抗議する。抗議しだしたと思ったら、ゴロゴロ喉を鳴らしながら、急に甘えた声を出してきた。
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