好きと好きは背中合わせ

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*** 「あっ…んっ、く、くすぐったい…ふぅー……」  蒼は、家族とドックランに来ている。  小学校1年生の頃に共働きだった両親が、放課後に家に帰っても寂しくないようにとゴールデンレトリーバーを家族として迎い入れた。  ゴールデンレトリーバーのミルクとは兄弟のようだと家族から言われて、本当に仲良しだった。そんな今日も遊びに来たドックランでフリスビーを投げて、上手く取りに行けたことを褒めてくれと言わんばかりにミルクに勢いよく抱きつかれ頬をペロペロされている。 ――温かくて懐かしい幸せなミルクとの思い出の夢を蒼は見ていた。  ミルクの可愛さに自然と頬が緩んでいた蒼は、再びフワフワしたものに体が触れ、くすぐったくてベッドの上で身を捩る。  そして、時折ピチャピチャ……という水音が聞こえ、ザラザラした生温かい濡れた感触が肌を刺激されていた。 「ふぅ……、ダメだって……ミルク。舐めたら……。ほらぁ、重いよー。抱きつくなってー……」 「は? 俺、ミルクじゃねーし」    蒼のスウェットの襟首の隙間から猫の姿のリンが顔を出し、不機嫌な声でそう言った後に首元をザラザラした猫舌で舐め上げた。 「ひゃんっ。んっ、はぁ……な、なに?」 「夢じゃなく、現実。ミルクじゃなく、リンだからな。違う獣の話題すんなよな」  蒼の首元から顔を出していたリンは、再びスウェットに潜り込み前足の肉球で乳首を刺激し、そのまま直接肌を舐め上げた。
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