プロローグ

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*** 「おはよう」 「部長、おはようございますー。そういえば、あの新作のカニカマがすごく売れているみたいですよ」  さざんか食品の営業部へ出社すると、開口一番に話しかけてきた部下の坂口は、今回のさざんか食品のイチオシ商品である新作のカニカマを様々な場所へ営業をかけていた張本人だ。 「おぉ! あれ、美味しいって評判で売れているらしいな。それに、確か猫も食べられるように開発チームで研究して作ったやつだよな。それがヒットして、愛猫家にも評判いいんだろ?」 「そうなんですよー。今って、空前絶後の猫ブームじゃないですか。この間、うちの商品をテレビでタレントが紹介したらしくて、それもあってバカ売れしているらしいんですよ。俺、すごく嬉しくって!」 「お前、すごく色々なところに営業かけていたもんなぁ。じゃあ、今期はボーナス期待できそうだなー。坂口、楽しみだろ?」 「そうっすね。ボーナスも確かに楽しみっす。でも、それより部長―、俺頑張ったし、たくさん売れた記念に久しぶりに部で飲みに行きましょうよー」 「はっ? お前らだけで行って来いよー。俺が行っても息が詰まるだけだし、つまらないだろ?」  坂口からのありがた迷惑な申し出に眉尻がピクッっと動く。
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