好きと好きは背中合わせ

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 蒼は、寂しさを紛らわすように仕事中は、めいいっぱい仕事を詰め込み余計な思考が頭の中に廻らないようにしたが、仕事に没頭しリンの存在を忘れることが出来るのは会社にいる時のみだった。  家に帰ってきて玄関のドアを開けると、静寂が部屋の中を包んでいて、否が応でもその静けさに、リンが帰って来ていないことと、寂しさを実感する。   ミャァー…ミャァー……   一瞬リンの声が聞こえた気がして、玄関にカバンを投げ捨て、急いでベランダがある窓の方まで走っていき開けて外を確認する。  しかし、そこにはやはりリンの姿はなかった。空耳が聞こえて、自分がこんな行動するほど弱っていることと、自分の不甲斐なさに蒼は項垂れるのだった。  そして、その場に座り込んだ蒼は、消え入るような小さな声で呟く。 「アイツが居ないくらいでこんな感じかよ……。空耳さえ聞こえるなんて。俺ってこんなに女々しいヤツだったかな……」  今夜も、寂しさを埋めるようにリンの残り香を嗅いで、体を丸めて眠りにつくのだった。  そして、リンがいなくなって2週間が経ってしまった。  リンが再び蒼の前に姿を現すこともなく、公園や道端でリンの姿を見かけることもないまま、時間だけが過ぎていく。    蒼は、日に日に寂しさが心に沁み広がり、全身の力が抜けてしまったような喪失感に襲われるのだった。
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