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「 俺は、リンとつがいになってないし、承諾もしてない……。なのに、甘い匂いなんて……」
「でしょうね。だから、リンさまは自宅に帰ってこられた」
「じゃあ、なんで、つがいにって……。なんの確証があって、あんたたちは言うんだ?」
「運命だからですかね。きっと、あなたは本能でリンさまを欲しているはずです」
猫と人間、そして男同士が恋をして、つがいになるなんてありえない。
それに、リンにはメス猫と一緒になって子供をなさないといけないという使命もあるはずだ。王族の一員なら、よけいにその使命を果たさないといけないだろう。
リンがつがいになりたいと思っている人物が、人間で、しかも男だという事実に猫の世界では許容できるものなのだろうか。
「俺は男で、アイツも雄猫だ。それに、人間と猫だ。結ばれるべきじゃないだろう。そう思わないか?」
「まぁ、常識的にはですね」
「 何を言っているんだ。あんたたち」
「それは、人間界の常識でしょう? こちら側の常識とは違う」
「なっ……」
「リンさまも言っていたでしょう? 問題ないと。こちらでは、男同士だとしても、匂いがすべてなのです。匂いが交じり合って甘い匂いを発することで運命の相手を見つける。そして、その甘い匂いがする相手じゃないと、子供は出来ないんです」
この猫たちの言っている意味が分からなかった。
リンは俺の耳の後ろの匂いを嗅ぎ、甘い匂いがするのが好きだと言った。そして、『匂いが交じり合えないと子は成しえない』と言っている。
男同士で猫と人間なのに交尾をすることで、子供が生まれると言うのだろうか。
何度も何度も考えるも、全く2匹の猫が言っていることが、蒼は理解出来なかった。
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