恋い慕う想い

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 ピチャ、ピチャ、ピチャ…… 「んんっ……」  目尻のあたりがくすぐったくて、手で目元を掻く。そして、寝返りをうった後に再び寝息をたてていたが、また同じ場所がくすぐったくて、手でそこを払い退けようと手を掛けると、少し温かい硬いものが手にあたった。 「ん? なっ……」  再び、払い退けようと手で触る。    ふわっ……    温かいその感触に、その場所を何度も何度も触って感触を確かめる。 (えっ……あ、温かい……い、生き物……?)  蒼は、目を見開き急いで起き上がって温かい感触を与えていた存在を探す。  キョロキョロと周りを見回すも、自分の目元を舐めていた生き物らしき存在を捉えることが出来なかった。  やはり、気のせいかと思い、再び眠りにつこうかと思って布団に手をかけ、ふと、リンの為に隙間を開けていた窓際を見る。その瞬間、月の光に照らされた小さい物体を目の端に捉えた。  チリーン……チリーン……と鈴の音も微かに聞こえてくる。 (あれは……俺が渡した家の鍵に付けた鈴?)  急いで手にかけていた布団を離し、這うように窓際へ向かう。  今度こそ、月の光できちんとその物体の正体を把握し、そして蒼は、信じられないような目でその物体を見つめるのだった。 「リン……? お、お前……。お、おれ……」 「あ、あおい……」 「なんで……。もう、会えないと……なんで……」  蒼は、信じられない面持ちのまま、夢ではないことを実感するために、目の前にいる猫の姿のリンに手を伸ばし感触を確かめようとした。 その瞬間、リンは蒼の手を逃げるように別の場所へ飛び移る。
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