恋い慕う想い

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「ひゃっ。あっ、え? 耳の後ろの匂いで……わかるのか……?」 「あぁ。ここからフェロモンが出ているだろう? それに俺たちは、すべて匂いで判断しているんだよ。あいつらも俺とつがいになるのは蒼しかいないって言っていただろう? だから、きっと大丈夫。俺に任せてよ。俺たち交尾しよう」 「でも……俺おじさんだし、綺麗じゃないし……」 「でも、かわいい。蒼、おじさん、おじさんって言っているけど、とっても可愛くて魅力的だって」  リンは、蒼を少し持ち上げ自分と向かい合わせにして、口にそっとキスを施す。  目を開けていた蒼は、急いで目を閉じる。その閉じた瞼、頬へとキスの雨を降らしていき、再び口へキスをした。そしてリンは、ざらついた舌で蒼の唇を舐める。  蒼は、ビクッと身体が震え、自然と吐息が口の端から漏れ出す。蒼の吐息が漏れ聞こえてきた柔らかな唇を割って、リンの舌が侵入してきた。  ねっとりとした舌が歯列をなぞり、蒼の舌を捉えて絡めとるのと同時に口の中に一瞬にして甘いものが広がっていく。   その甘さを求めるように息を弾ませながらリンの舌を探して、自分からリンの舌を絡めとる。今まで付き合ってきた相手とさえ、これほどまで深いキスを蒼はしたことがなかった。 「んッ、はぁ……あッ……」  キスだけで体の力が抜けてしまい、蒼は荒い息をしながらそのままリンの胸に体を預ける。  リンは、蒼の重みを感じながらシャツのボタンを1つ1つゆっくりと外そうとしていたが、初めて触るボタンに四苦八苦している。  そんなリンの様子を見て肩で息をしていた蒼は、リンの手を掴みボタンから遠ざける。 「え? あ、あおい? 脱がされるのイヤ?」  不安そうなリンの声に、蒼は首を横に振ると、微笑んでシャツのボタンに手を掛ける。 「はぁ……ん。ち、ち……がうよ。俺が、自分で脱ぐ。ボタン触ったことないだろう?」 「うん。でも……、蒼できるのか? 力はいらないって……」 「このくらいは出来るよ。俺だって大人の男だからな。年下の猫に翻弄されていたら、俺の立場ってものがないし……」 「んー…。かわいい。ときどき蒼が、ツンツンってするの、すごくかわいいー。すきー」 「はっ? お前、物好きだなー」  ボタンを外しながら苦笑いしていた蒼に、リンが飛び掛かって押し倒す。 
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