未来への光

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 顔にふわふわしたものがあたり、目を細めながらうっすらと開けると、横で丸まって猫の姿をしたリンが寝ていた。顔にあたっていたふわふわしたものは、リンのしっぽで、ぺちっぺちっと蒼の顔を優しく叩きつけている。 「寝相というか、コイツ、しっぽ癖わりーな……」  久々に嗅いだ、本物のリンの匂いは甘くて落ち着く匂いがしていた。その匂いを思いっきり深呼吸して吸い込む。心の底から愛おしさが沸き上がって溢れ出る感覚がした。   隣で寝ている猫は『交尾したらわかる』と言っていた。蒼自身、セックスすると情が湧くだけではないのかと思っていたが、リンに対し、明らかにうまく表現できない程の愛おしさを覚えていた。  リンが自分の手から離れ、また出ていくことになったら、今まで以上に蒼は寂しくて辛くて耐えられないと思う。  きっと、それが自分のリンに対する答えだ。    愛おしい人を見つめるような目で、寝息をたてている猫の額をサワサワと撫で上げる。その感触にピクッっと反応したリンは、うっすらと目を開けた。 「あ、あおい? おはよ……」 「ん。おはよー」 「体大丈夫か?」 「うん。ちょっと腰重いけどね、大丈夫」 「そっか、よかった。蒼、気持ちよさそうだったもんなー。また交尾しよ」  リンは、そう言うとニカッっと満面の笑みで蒼を見ていた。その様子を見て、愛おしそうな顔で見つめながら蒼は話し出す。 「あのな、リン。俺、リンの事を考えたんだ……」 「ちょ、ちょぉー、ま、待ってよ!」  丸まって寝ていた体を起こして、ちょこんと蒼の目の前に座ったものの、ジッとしていられなくなったのかクルクルと蒼の周りをせわしなく猫の姿で歩いている。
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