未来への光

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 人と関わりあうのが面倒くさくて嫌だった。  死ぬまで一人でいるかもしれないと思っていたが、リンが蒼の最後の瞬間まで看取るのはきっと無理だと思うが、こいつの最後には一緒に傍にいてあげたいと思いながらリンを見つめていた。  蒼がそう思って幸せを噛みしめていると、急にリンが蒼の上から飛び上がり頭を抱えだした。『なんだなんだ』と思った蒼は、体を起こしリンの前に座りなおす。 「あーーー! 失敗した。俺、俺……なんで蒼の告白を猫の姿で聞いちゃったんだろ? もう一回やり直してくれよー。しかも、裸とか……ちゃんとした服……。あっ、お前んち、グレーのスウェットしかないか。んー…失敗した。洋服買いに行くところからはじめるか? あと、なんだこの汚い部屋。ムードが1つもない。俺がいない間、蒼は怠けていたな?」 「は? お前バカか? もう十分だろ。両想いなんだし。それで妥協しろよ。もしくは、お揃いのスウェット着て告白のやり直しするか? 部屋が汚い俺も、少しは妥協してくれるっていう話を今していたばかりじゃないか!」 「やだー! 蒼のスウェット、グレーでカッコよくないもん。キラキラついてないし! 前から思っていたんだ。ダサいって。俺、カッコいいの着たいって!」 「はぁ? 俺の家に勝手に上がり込んで、文句言うのかよ。このワガママ猫! 俺の服にケチつけんなよ! それに、カニカマのお礼はどうした? お礼するために、お前は俺に会いに来たはずだろ?」
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