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「昨日ので帳消しだろ? 俺、蒼のこと、うーーんっと気持ちよくしてあげたし。俺の体にしがみついて、気持ちよさそうにいい声で啼いていたじゃないか! それでお礼は果たしたぞ」
「はぁ??? お前なっ!」
蒼は、リンの綺麗な銀髪と弱いしっぽを掴み、リンは、蒼の頬を掴み横にひっぱったりと、言い合いをしながら揉みくちゃになっていた。
「蒼っ! 俺、しっぽ弱点っていったよな。なんでしっぽ掴むっ!」
「お前も、俺の頬を強く掴みすぎ! それに、爪でひっかくな! それは反則だ!」
結局蒼は、この口が悪くてわがままな年下猫が、何を言っても、何をしてきても、嫌いになれずにかわいくて、そして好きで好きで堪らないのだ。
きっとこのまま、蒼がリンを看取るまで一緒にこうやって過ごしていくのだろうなと思いながら、頬を引っ張られていた蒼は、愛おしい目でこの愛らしい猫を見つめる。
そして、リンに聞こえないくらいの声で呟く。
「お前の最後の瞬間まで一緒に居させてくれよ」と。
*End*
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